本日の日記はダークで過激な内容のため仕様を施しております。絶対みないように!
痛ッ…
頭がガンガンする。
なんだここは?
無骨なコンクリに囲まれた何もない部屋には
パイプ椅子に座っている俺が1人きり。
真っ暗で締め切られているため時間はわからない。
外から音は聞こえてこない。夜だろうか?
「うっう」
口に、きつく巻かれた猿ぐつわで声は出せずヨダレだけが滲みおちる。
椅子に座ってはいるが、全く身動きがとれない!
よく見えないが椅子ごと身体中をロープで縛られているようだ。
確か・・・・・
俺は仕事から帰ってきて、夜中に腹が減ったから
コンビニへ行こうと外へでて、いつもの道を歩いてる途中…
えっと… どうなったんだ?
と、目の前にポツンと置いてあるTVが点いているのに気付いた。
その画面には椅子に縛られた男が1人…
俺か!?
部屋のカメラに映されてるのかと思った瞬間、
音声がでた。
「これがテログループより送られてきた映像テープです!」
ニュースキャスターが映った。
てことは、これはニュース番組か!
TV電波が届くってことはここは国内だな。
ふぃ〜〜、俺が出ているってことは、もう大丈夫だよな?
記者「犯行グループは明朝までに軍を撤退させないと
この人質を殺すと言っていますが!」
なに!?
首相「要求をのんでテロに屈するわけにはいきません。
卑劣な犯人逮捕には全力を尽くします」
なんだと!朝までって何だそりゃ!
記者 「街を歩いてる人に今回の事を聞いてまわりました」
学生男「こわいねえ… でも皆のためになんだし
今更、軍はひくわけにはいかないでしょ?
それに1日じゃ撤退なんてムリムリ」
会社員「だって平和のために行ってるんだから仕方ないよねえ」
主婦 「残念だけど捕まった人は運が悪かったんだねえ」
次々と首相に賛同する意見がでている番組。
俺は国に見放された…
この国には俺の味方は誰1人いないんだ。
信じていた全ての希望を失い脱力する俺。
…そのうち、ふつふつと怒りがわいてきた。
おい、なんだその無責任さは!
捕まってる俺はどうなるんだよ?!!!
おまえら絶対おかしい!
この国では人質の生命が最優先されるんじゃなかったのか?
要求をのめば次も同じ事やられるって?
じゃ、人質とって銀行に立て篭もってる奴らだって
構わず撃つようにすれば、次から人質事件なくなるじゃねーか!
なんでそれをしないんだ?
へっ、とんだ偽善者どもだぜ。
だってそうだろ?
要求が金じゃなくて政治的だったら人命なんて切り捨てるんだ。
自分の身に危険がない場所で正義ぶって、他人の生命なんて
平気で見棄てても仕方ないと思ってる奴ら!
お前らの言ってる皆のためて誰の事だよ?俺は含まれないのか?
誰なら含まれて誰なら含まれないんだ、言ってみろ!!
もし助かったら、こんな無責任な奴ら皆殺しにしてやりたいぐらい
ムカつくぜ!
世の中、誰もアテになんかできねえ!
こいつらに任せていたら本当に俺はこのまま殺されてしまう!
平和のための犠牲なんて冗談じゃねえ。
身勝手だという奴は、今すぐ俺とかわってここへ座れ!
平和のための犠牲だの礎だの
そんなご立派な建前や名誉のために俺は死にたくねえんだよ!!
くそ! くそっ! 絶対逃げ出してやる!
「ぐっ!うぐっ!うっ!」
チカラいっぱい暴れようとしてもロープはビクともしない…
『コッ コッ コッ コッ』
ひっ!
誰かがこの部屋へ向かって歩いてくる。
緊張で身体が硬直して動かない。
全身、油汗が次から次へと噴き出してボタボタと床に落ちる。
なんで、こんな目に!
俺はただ、コンビニへ行こうと出かけただけなのに。
何も悪いことなんてしていないのに!!
なんでこんな平和な国でこんな目にあわなきゃいけないんだ!
警察は何してるんだ!!
なんとかしてくれよ!誰かなんとかしてくれよ!!
『コッ コッ コッ コッ』
死にたくねえ
死にたくねえ!
死にたくねえ!!
『ギギーーーーッ』
扉が開く。
・
・
・
誰も居なくなった部屋にTVが点けっぱなしになっている。
「今朝、人質の遺体が海岸でみつかりました。
死体にはテログループの声明が付けられており
軍を撤退させるまで毎日1人ずつ…」
明日はあなたの番かもしれない…
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